オーバーウォッチについて再確認

OverWatchでもなければOver(半角スペース)watchでもありません。Overwatch(オーバーウォッチ)です。ゲームで勝ちたいのであれば、自分がプレイしているタイトルを正しく認識することが大切です。MOBA的要素、カードゲーム的要素があるというのは通説ですが、基底を成す要素は決まっています。天地開闢より今の今まで、オーバーウォッチはFPS視界の真ん中に照準が存在し、マウス等の入力デバイスによって視点の操作を行い射撃するゲーム)でした。そしてこれからも……。

出番なし?

FPSであるからには年齡や性別、信条に関係なくプレイヤーが行わなければならない絶対の手順が存在します。それがAIM(エイム)です。ラインハルトウィンストンといったAIMがほとんどいらないヒーローが存在するというのも、このゲームの特徴のひとつです。相手を画面内に収められる程度のAIMさえあれば、立ち回りや知識次第で活躍することはできます。しかし、いかにオーバーウォッチが特殊といえど、しっかりとAIMする必要のあるヒーローの方が圧倒的に多いということは忘れてはいけません。

AIM――『照準』『照準を合わせること』『照準を合わせる能力』
「AIMが必要」=「照準を合わせることが必要」
「AIMがあれば」=「照準を合わせる能力があれば」
など

 

オーバーウォッチが上手くなりたいならAIMを伸ばそう

特定のヒーローが上手いだけでオーバーウォッチが上手いと果たして言えるでしょうか。オーバーウォッチにおける環境(メタ)の変化の激しさには目を見張るものがあります。環境が変われば今までのヒーローピックや、立ち回りを修正する必要が出てくるでしょう。そんな中で唯一不変であることを担保された力こそがAIMです。核戦争により地上が荒廃してしまったとしても(6DPSメタの比喩)AIMという力さえあれば救世主になれるかもしれません。

特に、DPSをやるのであればAIMは重要です。ザリアディーバといった一部タンクでも重要です。敵をスタンさせたり、バリアを張ったり、高台や裏などの有利な位置を取ったりといった立ち回りはAIM≒攻撃力を活かすために行うものです。極端な例ですが、弾を一発も当てられないなら裏を取っても意味はありません。しかし、もしマクリーで6発中3発は当てられる人が裏を取ればどうでしょう。4発当てられるなら? あるいは5発、調子が良ければ6発当てられるとすれば? 1発しか当てられないとしてもそれなりのプレッシャーにはなります。当てられる数が増えるにつれ、相手にとっての事故の確率が上がります。全弾当てられるのであれば、相手にとっては悲劇が約束されたようなものでしょう。

AIMがすぐに良くなることはありません。日々の鍛錬がとても大切です。しかし、努力にも効率というものがあります。毎日オーバーウォッチをやってるのにAIMがちっとも伸びない、なんてことありませんか? AIM練習を毎日やってるのにうまくなっている気がしない、なんてことありませんか? 考えられる原因を以下に列挙してみましょう。

  • デバイスが悪い
    そもそもモニターが悪いせいで敵を視認できない、マウスが悪くて正しく動かしているのに反映されないなどです。買い換えるしかありません。
  • 能力の限界
    あなたが健康な体の持ち主であるなら、ありえません。毎日やっていれば、少しだけでも毎日伸びます。考慮するのは宇宙最強になってからでも遅くはありません。
  • マウス感度が合っていない
    AIMさえおぼつかないFPS初心者から、ある程度プレイ経験のある人まで当てはまる悪因のひとつです。傘を買う時には体格に合ったものを選ぶように、マウス感度も自分に合わせる必要があります。もし誤ったマウス感度が上達を妨げているなら、今すぐ正しい感度を見つけましょう。

 

めくるめくマウス感度の世界

合っていないマウス感度であっても、長くプレイを続けていれば合っていないなりに上達はします。上達してしまうのが問題で、自分のスキルキャップ(上達できる限界)を低くしている原因に気づけないということが往々にしてあります。

GIF例

こんな感じでした。理論上は「感度が高い=素早く操作ができる=最強」ですが、人間性能が足りていないとこうなります。

自分のことで申し訳ありませんが、PCでFPSを始めてから今までで14年が経ちました。14年もやっていればとんでもなく上手くなっていて欲しいのですが、現実は甘くはありません。そのうちの13年間、ずっと自分に合わない感度でプレイしていました。ようやく気づけたのがオーバーウォッチ発売後しばらくしてからのことです。ひょんなことから自分のプレイ動画をスローモーションで見返し、「AIMがいつも敵を追い越していて、それを引き戻して、引き戻す過程でまた追い越してという動きを繰り返している(Gif参照)」ことに気づきました。それまでの自分は、正確に計測はしていなのですが振り向き2~4cmくらいのウルトラハイセンシ(べらぼうに高いマウス感度)でプレイしており、高すぎるマウス感度を制御し切れていなかったのです。

 

振り向き――真後ろに振り向くまでマウスを動かす距離。マウス感度を語る際にはこの実際の移動距離で語らないとゲーム内の設定を同じにしてもマウスの性能やパソコン自体の設定に左右されてしまいます。また、振り向きが何cmと覚えておけば、環境が変わっても今までの環境を簡単に再現できるでしょう。振り向きではなく一周を基準にしても同じです。

22cm

45cm×40cmの特大パッド

最初はとにかく大きなマウスパッドを買って、とにかく感度を下げましたが、それだけでAIMの精度が飛躍的に良くなったのは言うまでもありません。その後様々な調整を重ね、現在では振り向き22cm程度に落ち着いています。何故感度を下げるとAIMが良くなるのかは、以下の図を見ていただければわかります。

A・B間が振り向き距離。伸びれば伸びるほど、現実世界における敵が大きくなる。

単純な話なのですが、振り向き11cmの人と比べると、振り向き22cmの自分にとって実質的な敵のサイズは2倍です(以前の感度からすると4倍以上)。これは、多少狙いが甘くても許される、と言い換えることができます。当然、敵に照準を合わせるまでに必要な距離も2倍になるという弊害もあるのには注意が必要です。更に甘えたいからといって振り向き44cmなんかにしてしまうと、ただ振り向くだけで今使っているマウスパッドの端から端まで使う必要が出てくるので実用的ではありません。ここで調整の必要が出てきます。

 

 

自分に合った感度を探す旅

この方法は、『CSGOにおける完璧なマウス感度を探す方法(How to Find the PERFECT Sensitivy Guide
CSGO)
』という動画を参考にしています。完璧なマウス感度を見つけることが即完璧なAIMに繋がるわけではありませんが、完璧なマウス感度でなければ完璧なAIMに近づくのは困難です。

この方法を使えば『ローセンシ』でも『ハイセンシ』でもない、自分に合ったマウス感度を手に入れることができます。また、現在使っているマウスパッドに依存するので、机の大きさ的にどうしても大きなマウスパッドを使えない人などにも適合するので安心してください。もちろん、より低い感度の方が合っているということもあるので、可能な限り大きなマウスパッドを使って欲しいと個人的には思います。

 

動画でも言われていることですが、とんでもなく退屈な作業ですのでお気に入りのBGMなんかを流しながら行うことを強く推奨します。自分の場合は大体2時間かかりました。

 

ステップ1

パッドの左端から右端までマウスを動かした時に、照準がピッタリ1回転するゲーム内感度を見つけます。自分の場合はゲーム内感度で『2』でした。あなたが使っているマウスと、マウスパッド次第で変わります。これが調整する際の基準です。

端から端でちょうど1回転

 

 

ステップ2

メモ帳と電卓を用意します(リアルで用意した方が楽です)。そしてステップ1で導き出した見つけた感度と、その感度に以下のように手を加えたもの全てを書き記してください。

 

  • 1/2にしたもの(÷2)
  • 1.5倍にしたもの(×1.5)

本来はめちゃ汚い手書きのノートでしたがみずいろさんが綺麗にしてくれました。

ここでは元が『2』だったので、それを2で割った『1』と、1.5倍した『3』という二つの新しい感度が出てきました。

 

ステップ3

ここからが最高に楽しい所です。ステップ2で導き出した感度を元にテストを行います。1時間弱が目安です。

練習場で以下のようなのターゲットを見つけてください。使用するヒーローは何でも構いません。

あなたの最高のお友達

  1. まず高い方を最初に試します。
  2. 次に低い方を試します。

それぞれ5分かけて行ってください。試し方は以下のgifの通りです。

距離を変えたり左右に動いたりしながらオレンジのパネルを狙い続ける

評価基準は以下の4つです。

  • 照準が上下左右にぶれないか
  • 照準が的から外れないか
  • 楽に狙い続けられるか
  • 問題なく振り向けるか
    ※これは使用するヒーローによりますが、もしトレーサーやゲンジを使うのであれば立ち回りの性質上一瞬で後ろを振り向けるという条件は外せません。

悪い方を消し込み、良い方を残してください。そして、今度は残った感度をステップ2の手順に当てはめます。

これを繰り返します。最終的に、テストするまでもなく使えない感度が出てきたら終了です。

この場合は『0.75』がそれに相当します。マウスパッドの端から端まで動かしても振り向くことさえできない、低すぎる感度です。そんな感度には永遠の別れを告げて、次に進みましょう。

 

ステップ4

  1. 残ったふたつの感度から平均を求めます
  2. すると『低い感度』『平均の感度』『高い感度』の3つになるのでメモします。
  3. 高い方と低いほうのふたつだけをテストします。高い方から先に試してください(これも5分間)。
  4. 次に低い方を試します。
  5. 悪かった方を消し込み、残ったふたつの感度でこのステップを繰り返します。
  6. 違いが感じられないくらい各値の差が縮まれば、最後に平均を取って調整は終わりです。

例でいうと、ステップ3では『1.50』『2.25』という、ふたつの感度が残りました。ここから平均を取ると、『(1.50+2.25)/2=1.875』です。テストした結果、低いほうが使えないなと思ったので『1.50』を消しました。 今度は『1.87』『2.25』が残ったので、また平均を取って……と繰り返しています。

最終的に、自分のマウス感度は『2.10』で落ち着きました。振り向きの距離は約22cmでほとんど変化はありません。あと1回くらい繰り返してもいいのですが、そこは時間と根気との相談です。4回目にして2.06~2.15の間の何処かに完璧な感度が潜んでいるということはわかったので、ここまで来れば十分と言えるでしょう。

 

ステップ5

終わりです。お疲れ様でした。あなたは完璧な――言ってしまえば無難なマウス感度を見つけることができました。

新しい感度はせめて1ヶ月以上使い込んでみてください。気に入らないからと言って感度をコロコロ変えていては体に馴染みません。当然ですが、マウスの操作は自身の体調を含めたあらゆる要因に左右されます。長い間使ってみて何か問題を感じたら都度微調整を加えるか、あるいは再度このテストを行ってみてください。

優れたAIMはメタが変わってもあなたの実力を支えてくれます。そして、ゲームが変わっても……。

良いFPSライフを!

 

 

出典
補足
謝辞